鉄道の乗車券には、自動改札を通る場合など一部を除き、駅の窓口や改札口、車内改札で様々な種類の"ハンコ"が押されます。ここでは、特に興味深いと思われるハンコと押される場面について見ていきましょう。
駅の有人改札から入場すると、きっぷを使い始めたことを意味する入鋏(にゅうきょう)が行なわれます。昭和末期までは、いわゆる鋏(改札鋏)による入鋏が行なわれてきましたが、不正乗車に対する対策という意味あいから、平成になってから画像のようなスタンパー(チケッター)による入鋏に取って代わりました。JRの駅改札印は、丸型で印面に会社名、駅名、日付が入れられているものが一般的です。
このスタンパーの大きさは鉄道会社や駅によって異なり、JRでは先に紹介させていただいた鶴岡駅(羽越本線)の例のように、小さいサイズ(直径15ミリ)のものと、この岡崎駅(東海道本線)の例のような大きいサイズ(直径20ミリ)のものが主流になっています。
また、「入鋏済 M」とありますが、会社や駅によっては時間帯によってスタンパーの種類を使い分けていることもあり、この例はアルファベットによって時間帯を区別しています。国鉄乗車券類大事典(JTB)によると、始発から午前9時までが「M」、午前9時から午後4時までが「D」、午後4時から終発までが「E」とされています。
この駅改札印は必ずしも赤〜朱色のインクである必要はなく、画像のような様々な色のスタンパーがあります。また、先の例とは異なり、駅改札印の色によって時間帯を区別している例も見受けられ、同じ駅でも複数の色の駅改札印を使い分けているところもあります。
このように、"ハンコ"には駅名もさることながら、その様式や色に各社各駅毎の特徴があり、集め甲斐がある対象であることがわかります。なお、駅や車内で使われるスタンパーはシャチハタの商品(チケッターはシャチハタの商品名でもあります。)であり、連続使用に耐え、速乾性のインクが用いられるなどの特注品となっているようです。